行政評価システムの課題と取り組みを問う


財政状況が厳しい昨今、地方公共団体では「費用対効果」というフレーズが頻繁に使われるようになりました。しかし、「費用対効果」といっても、一体どのような調査に基づいて、どのようなメンバーが研究し、どのような成果を期待し、事業実施後の評価は誰が行ない、結果責任は誰にあるのかなど、我々には中身が殆ど見えないのではないでしょうか。こうした背景には現状の行政体質にあると指摘されています。あくまでも一般論ですが、「一般的に行政組織には、各部署が予算獲得には熱心なものの、その予算でどのような効果があったかを公開したがらない体質があり、また、事業の効果や成果を評価する仕組みもない。そのため、予算が各部署の既得概念化、硬直化を招き、新たな事業ができにくい状態になっている。」と指摘されています。
しかし、近年、行財政が逼迫していくにつれ、現状の行政体質、行政システムを放置できなくなり、どの自治体でも行政改革に取り組み始めました。その行革への一つの手法として「行政評価システム」が注目されています。
行政評価とは、各部署の行動目標を設定し、その達成度を第三者定期的にチェックして、その結果を情報公開していくという手法が一般的であり、三重県で行われている「行政評価システム」がその先行的な例であります。
わが町では平成16年度から、この行政評価システムを導入するわけですが、その目的、理念については、広報5月号に掲載されております。
しかし、すでに行政評価システムを導入した先進自治体の中には、全般的にそこそこ効果があった。一部の部署には有効であった。全く状況に変化が見られていなかった。結果的には導入前よりも効率が悪化した。など、様々な分析結果が報告されています。
財政状況が厳しいと言われながらも、健全財政を維持しているわが町が、現状に甘えることなく果敢に行政改革に挑む姿勢は高く評価できるものであります。それだけに、他の自治体に先駆けた町独自の行政評価システムを構築し、町民からさらに信頼される行政運営を期待するものであります。
そこで、以上のことを鑑み、次の3点を町長に伺うものであります。
(1)私が調べた限りでは、行政評価システムを導入している先進自治体の中には、予想以上に効果が上がっていないと評価されているところもあるようですが、わが町の場合、導入後への懸念はないか伺います。
(2)行政評価システムを効果的なものにするためには、透明性と信頼性の高いシステムが望まれるが、わが町においてのシステムズくりへの課題は何であると受け止めているか伺います。
(3)課題解決に対して、町としてはどのように取り組んでいくか伺います。
以上で、登壇での質問を終わります。


レポート

@    行政評価システムを立ち上げるまでに要した総費用、及び今後のこの事業への毎年の財政負担は。(行政評価シート作成に対し、職員から残業などが行われている。)
A    行政評価により評点が出されるが、評点の高いものから事業が優先されるのか。(ケース・バイ・ケース:相続などが発生した場合、首長の選挙公約など)
B    行政評価されていない事業が行われるといったケースはあるか。(ケース・バイ・ケース:緊急性が発生した場合など、しかし、プライベートな問題もあり、説明責任が難しい)
C    今まで政策は町長が最終判断を下していた。行政評価システムの座長は町長では、町民の立場から考えた場合、今までと何がどのように変わるのか。
(少なくとも、やらないよりはやったほうが良い。若手の職員、特に係長職以下への刺激にはなる。しかし、町民への益は、町民が一番感じにくい)
D    取り上げる事業の最終判断は町長が下すケースが多いが、行政評価システムで評価対象にならなかった事業、あるいは評価点数では上位に位置されていない事業を行う場合、説明責任は果たしていく考えか。(果たせるものもあるが、プライベートな問題が関与した場合などは難しい。参考としては、多治見市の「多治見の台所」ニセコ町の「もっと知りたいニセコの仕事」など)
E    すでに行政評価システムを導入している先進自治体で、めざましい実績をあげている自治体はあるか。また、その自治体では、どのがどのように変わったか。(行政評価を指導する業者と自治体職員とでは温度差がある。自治体職員では、評価シート作成のために本来の業務ができない。という声が多い。また、企画財政などで、プロジェクトに対して予算の削減を提案されるが、予算を削減したら責任を企画・財政に押し付けてしまうケースも指摘されている。また、事業が軌道に乗る絶好のタイミングが合っても、発生主義で予算が組めないため、タイミングをのがしてしまう。また、住民に「もっとしりたいニセコの町」のような情報提供が望まれるが、この情報提供に対して、行政は消極的である。これは、一部住民の行政への圧力が、行政職員へのアレルギーになっているためではないか)
F    町では各課事業に対し企画・財政のヒアリングが行われているが、行政評価システムが軌道に乗った場合、こうした今までの流れが変わるのか。(総務課はどのような視点でのアドバイスになるのか。アドバイスに内部規制があれば、各課の責任が不明瞭ならないか)
G    行政評価システムを実効性の高いものにするためには、発生主義による予算計上が必要であるとの指摘がされているが、町長の認識は。
H    BSC(バランス・スコア・カード)を導入する考えはあるか。(日本でまだ導入されていないが、長期的な戦略を組めるため、長期総合計画などへの進捗を図るときには、各課への責任と成果が図りやすい。行政評価は評価に軸足が置かれているが、BSCでは成果と経過と責任が重要となる)
行政評価システムには町民への情報提供が欠かせない。どのような内容のものをどのように周知させていく考えか。
問題点、事業の見直しの「言い訳」に行政評価が使われない
及び効果については現実には、どのような成果を期待しているのか。そのための事業予算として適正か否か。誰がどのような根拠で判断したのか。また、実行後、効果をどのように測定すべきなのか、基準をどこに定めるのか。だれがどのように判断するのか。そのためのシステム改善ができるのか。など、論議がされるようになりました。この
価値観や住民ニーズが多様化している昨今、行政だけで住民ニーズすべてに応えていくことは現実不可能になっています。これからは、本来の国の役割と責任。地方自治体の役割と責任。民間事業者の社会的責任と役割。NPOの役割と責任。住民一人一人の権利とそれに付随する義務と責任。少なくともこれらの個々の役割と責任を明確化し、互いに認識し、パートナーとして信頼協力していく体制作りが求められます。しかし、残念ながら、今の日本の社会は、特にパブリック意識においては責任の所在や義務への自覚が希薄になっていると指摘されています。また、この現象を誘発するかのような社会制度になっているとの指摘もあります。確かに、現状では個々の社会的なあり方や制度が必要以上に複雑に絡み合い、がんじがらめになっています。時間をかけても、本来の自分達のあり方、社会との拘り方を再確認し、絡んだ糸を解きほぐしていく作業が求められます。
私はこの絡んだ糸を解きほぐすために最も必要なことは、一人一人の意識改革だと確信しています。仕事上での立場の優劣、制度や法令、平等主義、税の公平といった今日的に考えられている現状認識や、過去の経緯やしがらみなどを一旦脇へ置いて、批判からではなく、現状を受け止めた上で、自分には何ができるのか、何をすべきなのかを自覚し、考え、行動することであると信じます。では、瑞穂町行政の立場として今何をすべきなのか。私は「行政評価システム」の構築の過程の中に一つの答えがあるように思います。
 この「行政評価システム」は広報5月号に目的・理念など詳しく掲載されました。しかし、行政評価システムを機能させるためには、まず始めに「平等主義」「税の公平」などの基本的な考え方への方向性を打ち出さなくてはならないと考えます。次に、その考え方を反映させるベターなシステム作りが必要です。「評価基準の明確化」「評価機構への信任」「権限と責任の所在」「町民への説明責任」「コストパフォーマンスが明快な情報提供」等を構築するためのシステム作りが課題となります。
「評価機構への信任」とは、企画の段階から実施された事業までの評価に対し、評価機構の決定に、行政職員、議員、町民から納得が得られるかどうか。総論賛成・各論反対という社会的な風潮に対して、
「権限及び責任の所在の透明化」とは、企画される事業に対し、誰がどのように提案し、また、提案決定に対し、予算化は確実に図れるか。結果に対して誰が責任を負うのか。給与査定に反映されるのか。担当セクションとのがある中で、優先順位の最上位に位置付けられるのか。


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