グローバリゼーションの中で
〜21世紀の地方自治〜 


 私は瑞穂町議会を代表し「グローバリゼーションの中で、21世紀の地方自治」と題して、意見発表させていただきます。
今や自国内における鉱物天然資源、自国内での生産とマーケットで、国家を運営することは不可能になっています。世界全体が相互依存関係の中で成り立っています。まさに日本もグローバリゼーションの中で国家運営が成されているのです。しかし、そのためには、国家間における宗教や文化、慣習の違いを始め、様々なギャップに対し、どのように調整を図るかが重要になってまいります。二国間、又は国際間の中での統一基準を設ける必要が当然生じてきます。それは確かに当たり前のことですが、日本は国際ルールへ中々移行できていないのであります。主要先進国から「日本は早く構造改革しろ」との強い要請がありますが、先進首脳国から見たら、「いいかげんに日本も我がまま言ってないで、早く国際ルール合わせなさい」と、いったところでしょうか。本日午前中にブッシュ大統領が日本で演説いたしましたが、小泉内閣への援護射撃でしょう。
また、この改革が出来ないことが、日本の長引く不況やペイオフを始めとした金融不安、株価の低迷を加速させているのであります。因果関係を金融問題を取り上げて説明いたします。
皆さんが何か事業を起こそうと思ったとき、運転資金は金融機関から借り受けるのではないかと思います。その時は大抵、土地・家屋が担保になり、連帯保証人が必要となります。しかし、これでは事業が軌道に乗らず、失敗したとしても金利だけは金融機関に払いつづけなければなりません。金融機関側も保証人に支払能力がない、担保としての土地の資産評価が下がった段階で不良債権が発生します。
資本主義国でこのような制度を取っているのは日本だけといってよいのです。それでは、国際ルールに則った海外の金融機関はどうなっているのでしょうか。もし、皆様の内の誰かが、海外の金融機関を使って事業をしようとした場合を想定してみましょう。まず、事業に対してプロジェクトを作成し、投資希望先の金融機関に当たります。金融機関がこのプロジェクトが成功すると判断した場合投資します。そして出資額やリスクの発生率に応じて利益配当が決定されます。一般にはプロジェクトファイナイスといわれています。金融機関は自ら投資した事業を成功させるため、あらゆる方法でマーケットを開拓していきます。
しかし、運悪く、事業が失敗した場合はどうなるかといえば、損害は金融機関に生じます。皆様には金銭的負担は残りません。従って再チャレンジの可能性が残ります。
日本でもようやくプロジェクトファイナンスを取り入れはじめた金融機関もありますが大手都市銀行系、地方銀行で各一行づつというのが現状です。
海外で事業展開している日本の金融機関もありますが殆どは海外進出の日本企業のみを対象にしているため、日本流の担保保証人制度式のシステムで運営されています。従って、海外での日本企業が事業規模を縮小しても、それまでの金利は払い続けなければなりませんし、金融機関は金融機関で新たな投資先もなく、収益率を減少させます。いわゆる共倒れです。
今、盛んに注目されているペイオフの問題は、公金をいかに守るか、自治体として最重要課題の一つでありますが、BISという国際決済銀行が、グローバル化している各国の通貨に対して、世界経済の秩序と安定のため、資産評価を国際レベルで見直し、ルール作りをしています。日本が貿易国である以上、ルール無視は通用しません。円の国際信用がなくなり、貿易決済や為替取引きが出来なくなります。
日本独自の資産評価から、国際基準に抵触した場合の資産評価に変えなくてはならないのですが、何が原因かは申しませんが、中々変えられないのです。国際基準にシフトチェンジできるかどうかが、長引く不況に終止符を打てるかどうかの分かれ道といえるでしょう。補足致しますが、国際基準では土地に対しての資産評価は殆どありません。日本の土地の資産評価は間違いなく落ちていくでしょう。
一旦公的資金を使って、銀行の保有株を買い上げ、ストック市場のぶれを押さえたり、金融機関への公的資金の直接注入も、システム変革がされなければ、同じように不良債権を抱え込むことになるでしょう。また改革改善が見られなければ、ストック市場では投資家離れが起き、株安は加速していくでしょう。なぜならば、日本国内の株の35%以上が海外の投資家によって保有されているからです。当然景気はますます悪化していく。自治体もこれらの影響を受け、町村税、地方交付税、補助金当に影響を及ぼすことが予想されます。
私たち自治体議員は、こうした背景を認識した上で、景気回復を漠然と期待するのでなく、景気の動向を見極め、補助金・交付金をいかに引っ張ってくるかという発想からいち早くから脱却し、自主財源確保の道を模索していかなくてはならなくなるでありましょう。
ここで、国際レベルでの決定が、どれだけ自治体に影響を与えるか、西多摩3町一村の重要課題である農業問題を例に説明したいと思います。
国際機関では1968年から「世界の平和と共生」に向けて、何をどう取り組んでいくかが話し合われ、具体案がレポートとして提出されています。1972年に提出された「ブラントレポート」は元ドイツ大蔵大臣ウイリー・ブラントを座長に各国首脳が会談し、赤道を挟んでの南北の経済格差是正の必要性が謳われました。
開発途上国の文化、政治、宗教、教育水準、電力事情、国防能力、あらゆる実情を鑑み、格差是正のため、第一次産業の活性化を図るという内容のものです。具体的な戦略としては、世界銀行、アジア開発銀行等の融資と、先進国に対しては、輸入枠拡大に向けての協力が記載されています。先進首脳国はその趣旨に賛同し、調印しています。調印されたということは、具体的にプロジェクトが国際レベルで推進されることを意味します。いわゆる食料輸入に関しての関税の見直しから、国内への輸入枠を始め、調整されていきます。当然日本も国連に加盟している以上、この決定を受け入れざるを得えません。
当初、開発途上国の新規干拓事業は、第一次段階では国内の食糧事情の改善となりますが、数年後の第二次段階では輸出に向かいます。労働コストに圧倒的な差が生じる以上、先進諸国は、自国内農業を守るならば、輸入作物との価格競争に勝たなくてはなりません。そのために、国内におけるシステムの見直しが進められ、改善されていきました。
GATT等で公式調印がされる前段階で資本主義諸国が改善を図る中、日本は残念ながら、減反政策、補助金という、農業そのものの収益性を高める国家レベルでのシステム改革ができなかったことが、今日の農業の衰退を招く主な要因となったといえるでしょう。
最近では、韓国が、国際通の金大統領のもと、国家プロジェクトとして、農作物の品質管理及び市場開拓において穀物メジャーのノウハウを入れ、システムを改善し、マーケットを国外へ拡大しています。日本への影響も少なくありません。今後日本は、海外に対して規制と補助金で保護する道でなく、システム改革の道を選択すべきでしょう。
しかし、日本の場合は改革する所があまりにも多すぎます。市場に出るまでに、中間業者が多すぎたり、高速道路料金が高すぎたり、例えば現状では北海道から東京まで、トラック輸送の高速代で約13万円。これら一つ一つが市場価格に跳ね返ってくるのです。また、安全規格そのものの問題もあります。現在のようにJIS規格等の認可権が国主導で行われていては、万一一つでも異常が発見された段階で、規格そのものへの信頼感が損なわれ、同品目商品すべてに影響を与えてしまうのです。O157が、近畿地方の某農家の作ったかいわれ大根ではないかと疑われたとき、日本の安全基準をマーケットが信頼せず、すべてのかいわれ大根生産者にダメージを与えたことは記憶に新しいと思います。こうした規格も資本主義国同様に、自己申告制とし、万一事故が生じたときは、企業・生産者側個人がマーケットの裁きを受けるようにしなければ、例え優れた製品を作っても、他社の製品の品質に振り回されてしまうでしょう。
従って、現状の範囲で農業の活性化を望むならば、金融機関から借り受ける間接金融、行政の利子補給というシステムを抜本的に見直し、JAのプロジェクトファイナンスの導入や、販売までの合理化、マーケットリサーチ、信用創造までのシステム設計が重要となるでしょう。JA甘楽富岡の経営戦略は参考になるはずです。
15分の持ち時間ということで、農業問題だけを例にとらせて頂きましたが、他にも、司法、環境、福祉、教育あらゆるところで多くの規制が日本国内の産業経済や、自治体の自立への足を引っ張っているか、知れば知るほど唖然とするばかりです。
それでは、次に21世紀の自治体はどのような方向に進むか、また進めなくてはならないか意見を述べてみたいと思います。大きくは二つあると思います。
一つは自主財源の確保への第三の道の開拓。もう一つは自治体間の相互依存の道です。始めに自主財源確保への第3の道ですが、町村税の他に自治体独自の財源への道を確保することが大切だと思います。一例ですが桧原の丸山議員が暮らされていたドイツのハンブルグ市では、定年を迎えた人や、リストラされた人等が新たに企業を立ち上げる場合、市が投資をし、株式を保有するという方式をいち早く導入いたしました。シルバーベンチャーキャピタルといわれていますが、昨年、この内の一企業がナスダックに株式公開されるまでになりました。ハンブルグ市が国際市場で莫大な収益を上げたのです。
構造改革が進まなければ、自治体が投資などでマーケットに参入せざるを得ない状況が発生することも視野に入れなくてはならいでしょう。ですから、どういった分野に投資をするか、新たな戦略はどのようにしていくか、どの金融機関に話を通すか、自治体がこれらをコーディネートでき、しかも命中精度の高い有能なファイナンシャルプランナーをいかに抱えるかが重要です。余談ですが、先ごろ西多摩新聞にも掲載されていた木質バイオマスは、電力として化石燃料の約半分のエネルギーを発生させ、国際的に注目され、技術革新が進んでいます。買電収益の可能性もあり、自主財源確保への第三の道ともなりえたかもしれません。
投資である以上リスクは発生しますが、それだけに自治体として、今まで以上にマーケット調査と経営感覚を身に着けることが必要とされるでしょう。
次に自治体間の相互依存ですが、例えば体育施設など、住民は自治体の所在にこだわらず利用しています。ならば、お隣の自治体にある施設同士を、どうしたら自分達の自治体の住民にも有効に利用してもらえるかをお互いに考えていく必要があると思います。新たな公共施設建設より、近隣の自治体市施設まで直通バスを走られた方が、ランニングコストも安く押さえられます。公共投資は景気浮揚とよく言いますが、証券市場で非居住者勘定(外国人)が30%を超えたマネーゲームといわれる現代の社会状況では最早通用しないのです。従って、受益者負担の概念の枠を広げ、各自自治体が実態に則して再構築し、自治体の相互扶助に向けて、積極的に取り組んでいかなくてはならないでしょう。
今まで、こうしたことが出来なかったために、地方交付税が膨らみ、とうとう国も合併を推進せざるを得なくなったものと推察されます。
今後自治体は金儲けではないという既成概念の枠を外し、販売戦略を海外も視野に入れる発想の転換と、施設を自治体間が相互に利用していくという懐の深い発想が必要でしょう。
ちなみに、今まで述べたことは、地方自治法上、自治体ができうる領域です。その気になれば今からでも取り組めます。
21世紀の地方自治は、補助金をいかに引っ張るかから脱却し、どうしたら自主財源を確保できるか。自立の道を模索する方向に進めるべきであろうし、またそうしなければ、好むと好まざるとに拘わらず、強制合併の形で飲み込まれていくのではないかと思います。
 現在日本は、税制、許認可制度、司法制度、国民意識どれをとっても社会主義国に酷似しています。「リスク無き改革は無い」「競争と変革無きは衰退する」という資本主義原則に立ち返るべきではないでしょうか。
グローバリゼーションの中で、21世紀の自治体は、自主財源の確保をいかに図るが最重要課題となるでしょう。そのためには、視野を広げ国際レベルで何が話し合われ、何が決まったのかに着眼し、いち早く変革できたところが、質の高い住民サービスを提供できる自治体となるでしょう。
望むべきは行政に携わる首長、職員、我々議員一人一人が改革の副作用やリスクを受け入れる覚悟を持ち、新たな試みに果敢にトライする情熱を持つことではないでしょうか。
最後に昨年10月25日都内で大学生と懇談したウォルフェンソン世界銀行総裁が集った若者達に伝えたメッセージを紹介したいと思います。「世界に起こっていることが、自分にも影響を与えることを知って欲しい」
ご静聴ありがとうございました。

もどる