産業の活性化に向けての町の取り組みを問う


 現在日本の経済は深刻な状況にあることは周知の通りであります。不良債権処理が進まない、構造改革に時間がかかりすぎているなど、様々な要因はあるのでしょうが、根幹は、これらの要因によって日本の主権通貨である「円」の信用が国際的に見て低下したことであります。通貨信用を引き上げるのは、大きく二つのポイントがあると考えられます。一つは国家信用であり、もう一つはシステム信用であります。国家信用は、国防能力、外交能力、政治情勢、国全般の制度などに拠りますが、システム信用は、官民含めて時代に即応したシステムに変換できる体質かどうかが大きく影響します。
大変大きな話しのようですが、実は自治体レベルにも信用力が少なからぬ影響を与えるのです。例えば様々なイベントを企画し毎年300万人の観光客が訪れる湯布院町と国や都道府県の補助金を当てにし、自らの創意と改革の意欲の見られない自治体では、国や県からの信用力が異なります。産業育成においても起業家誘致に向け、規制緩和を進め、公共施設を開放している自治体と、模様眺めの慎重な自治体では、起業家サイドから見たらどちらを選択するか自明の理です。従って、わが瑞穂町の将来の産業が発展するか否かは、自治体としての信用創造をどのように生み出していくかが重要となります。その根本は意識と意欲です。「国の動向を見て」とか「近隣の動向を伺いながら」といった消極的な意識では、産業の発展が取り残されます。将来を見据えて先見性を持った施策が求められます。その際、現状の産業構造と問題点を的確に把握することは当然であります。
では現状の問題点とは何か。最も重要な問題点の一つにコンサルティングの質の低下と間接金融体質があります。具体的に説明します。
資本主義国では、一般的に事業者が新たに事業を行なう、又は事業の改善・改革を試みた場合、金融機関に企画書を提出し、金融機関が企画を精査し、内容によって担保保証人なしに資金を投資します。金融機関は、投資先の事業収益の利益分、概ね4〜10%が収益になります。従って、金融機関は投資した以上、収益向上をするために、投資先の事業をバックアップし、マーケットを拡大していきます。万一事業が失敗した場合、負債は銀行にあり、事業者には借金が残りません。また、再チャレンジのチャンスが残ります。従って、企画する事業者にとっても、投資する金融機関にしても、企画を精査できるコンサルティングの育成が重要になるのです。コンサルティングの内容としては、バランスシート以外にも原材料の価格変動、品質保持、物流システム、在庫管理、回転効率、ロス率、ブランドの信用創造、コマーシャル戦略、商圏エリアにおける適正規模、適正価格、生産効率、を始め、中国、東南アジア地域の経済成長率が及ぼす余剰製品の輸入によるデフレの影響など、事業規模にもよりますが、可能な限りのシュミレーションとアドバイスができるスタッフを抱えています。それでも100100中ではありません。
 これらのノウハウを持ったスタッフが、瑞穂町の個人商店クラスの企画に対しても精査し、アドバイスするのです。なぜならば、事業者を育成することが金融機関の本来の使命だからです。
一方日本では、事業を起こす、または事業の改善や拡大を行う場合、殆どが金融機関、あるいは保証機関から投資ではなく、融資を受けます。その際、金融機関、行政、保証協会には企画内容を充分精査できるコンサルティングがほとんどいないといってもよいのです。金融機関は自らの損失を回避するために、担保や保証人をとります。土地や家屋など、評価価値の変動幅のあるものを担保にすること事態、資本主義国の常識に照らし合わせても信じられないことです。また、仮に事業が失敗した場合、負債は事業者及び保証人が負います。これでは、再チャレンジの可能性すら生まれません。そのため、事業者は多額の負債を抱えていても、再建を夢見てさらに増資していく。結局金融機関は、貸し渋りし、金融機関の融資がストップした段階で、事業者及び保証人に多額の負債と融資先に多額の不良債権が発生するという現象を引き起こします。見かねた政府や行政機関が税金を担保にした、特別融資を設けるという、負の循環を繰り返しています。こんな制度は先進国では日本だけといえます。
しかし、残念ながら日本では、金融機関の融資、保証協会等の特別融資が命綱のようになっています。金融機関から資金融資を受けられないことが、経営難に繋がっていると信じられています。まさに間接金融体質です。
しかし、遅まきながら、日本でもようやく、国内の都銀では三井住友銀行が先鞭を切って無担保無保証の商品サービスを始めました。現在、金融機関は企画重視に体質を改善しつつあります。これが現状です。
このような流れの中で、町としても、事業者及び行政も企画重視型、コンサルティングの質の向上へ意識を改革していかなくてはならないのです。
さて、本来経済活動に対しての行政の役割は、適正な競争原理に基づく経済活動を行える公正な制度の確保であます。自治体として出来るアシストがあるとすれば、経験事例や客観的な情報提供、観光ビジネスと一体化した商業支援、あるいは光ファイバーなどのインフラ整備、公共施設の起業家への開放といった優遇措置あるいは起業家への直接投資でしょう。
 さて、瑞穂町長期総合計画では、商工業部門部門で3つの方針、農業で4方針と各施策が謳われています。この中で商・工・農の各施策に共通しているのは融資制度の利用促進です。融資制度だけを拡大しても、肝心の事業が軌道に乗らなければ、不良債権化します。町は利子補給という形で税金を使用する以上、融資先事業者に対し、町行政に何ら責任は発生しないのでしょうか。町側には主体的にコンサルティングに参加し、経営のノウハウを学ぶ人材育成の必要はないのでしょうか。
また、町の各種イベントや事業に対し契約相手先として地元の事業者にお願いしていることが多々あります。町が地元事業者を優先する場合、地元でお金が還流するというメリットと、育成するチャンスを与えるという二つのメリットが考えられますが、本来公正な市場経済に対して、地元であるが故に優先的に契約するのであれば、付帯条件が必要にはならないのでしょうか。町はこの点をどように考えているのでしょうか。
町の将来の鑑みた場合、当面現状のシステムを継続することが、町の産業にとってベターと考えているのか、改善するのであれば、どこをどのように改善する考えか、課題は山積していると考えられますが、次の3点に絞り町長に所見を伺います。
(1)産業化活性化に向けて、わが町の行政課題は何であると考えていますか。
(2)民間事業者の自己責任と行政の役割と責任のアウトラインをどのように考えていますか。
(3)品質、保証等を優先した、公正な競争原理を促進していくべきであると考えるか、地元事業者の保護を優先させていくのか、町としては、どのように考え、実行していきますか。
以上で登壇での質問を終わります。

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