水道水の安全性確保に向けて



 急速な都市化の中で、生活用水の確保は絶対必用条件であります。東京では明治31年から、戦前、戦後、高度成長期を通し、比較的安価で加工の容易な給水管として、「鉛製の管」いわゆる鉛管が使用されました。その後、重金属の有害性が指摘されるなかで、特に鉛は鉛害という言葉が現存する程、健康を阻害するきわめて危険性の高い毒物であることが認識されています。
 現在指摘されている鉛の健康への影響に関してWHOの調べでは蓄積性のある毒物で、特に赤血球のヘモグロビンと結合し、肝臓・肺・脾臓・腎臓・骨髄に蓄積され、血中濃度が50〜80μgで疲労・不眠・短気・頭痛・注意力の散漫・記憶障害・関節痛・胃腸障害を起こし、胎児や乳幼児では発達障害、知能障害を引き起こすと報告されています。繰り返し申しますが、鉛は蓄積性であり、現在までに摂取し、臓器に蓄積された鉛はなくならないのです。平成5年WHOでは安全基準のガイドラインが示されました。鉛害が引き起こされる血中濃度までのラインとして、最も影響のある乳幼児の安全基準を基本ベースにしたものです。内容は概略ですが体重5キロの乳幼児が人工栄養で一日0.75リットル水分を取るであろうと仮定し、安全基準濃度を1リットル中0.01gとしたものであります。こうした流れを受け、東京都は2003年までにはWHO基準を目途とするために、約400億の給水管改善のための予算がつきました。
しかし、この水道事業に関しては一定の評価はされるものの、安全な水確保にはまだまだ課題が山積しています。その主な理由として7つ考えられます。
一つ目は、それまでの日本の安全基準は92年までWHOの10倍ゆるく、その間設置されたものをすべて改修するには経費から見て2兆円を超えるといわれ、改修部分は公道部分とメーターへの接続管に限られ、私有地の給水管取替えに関しては受益者負担となっていること。
2つ目は、鉛管が使われなくなった昭和55年から、平成5年までに取り付けられた塩化ビニル製の給水管、銅管には素材の安定剤として鉛が使われいるが、これらの鉛含有管の改修はしないこと。
3つ目は、水道の蛇口、ハンダ、継手等の給水器具には現在でも鉛が使われていること。ちなみに四国のある市が独自に調査したところ、新品の蛇口一日の滞留水で基準値の約20倍、3日の滞留水では約100倍が検出されたと報告されている。
4つ目は、仮に市販の家庭用浄水器を設置しても、水に溶けた鉛まで除去できる浄水器は、数社の、しかもコストの高い製品に限られ、それでも完全除去までには至っていないこと。
5つ目は、鉛管以外にも公道部分の多くには発ガン性が強いアスベスト管が未だに埋設されていること。
6つ目は、殺菌剤としての塩素にはトリハロメタンという強い発ガン性物質を誘発するだけでなく、胎児・乳幼児が安全基準以上に塩素を摂取すると、アトピー性皮膚炎を引き起こすことが指摘されている。現在厚生労働省の研究費補助のもと発足したATC21で代替消毒法研究を進めているが、研究開発と普及にはまだまだ時間と要することが予想されること。
7点目は、こうした一連の事実は、関係機関は認識していると思われるが、「水と健康」に関して国民に対する情報公開、啓発活動等が十分行われていないこと。などが上げられます。
水道水の安全確保に向けては、国内では外郭団体の「日本水道協会」が製品の認可を始め、かなりの部分で権益を持ち、中心となって活動しています。WHOの安全基準クリアに向けては、10年間の移行措置を取り、徐々に改善を図っていったようですが、その間、住民に対して情報を提供し、各関係機関に協力を求めたという話はあまり聞きません。どのような事情があったか解りませんが、将来多くの国民が高い確率で健康に支障をきたす可能性があることが予想されても、改善に向けての措置が進みにくい何らかの事情があったのかも知れません。国民の健康維持のための安全基準なのか、関係団体存続のための安全基準なのか判断しかねるところです。
町民の多くが水道水を利用している以上、水道業務は都の受託事業だからと受身に捕らえず、町民の生命と健康を守るために町レベルでも可能な限り積極的に安全対策を講じる必用があると考えます。町民一人一人が「自らの健康は自らの手で手に入れる」という意識の啓発と、自らの自己判断と自己責任に基づいて対応できるように情報を提供していく責務があるのではないでしょうか。
 そこで3点に渡り、町長の所見を伺うものであります。 
1点目は、現在当町にある公共施設の中で鉛管を使用している公共施設と、各施設への具体的対応を伺います。
2点目は、特に第2小学校は鉛管が使用されていますが、具体的対策を講じる必用があると考えますか。あるとするならば、どのようにされますか。
3点目は、妊婦や乳幼児を抱える家庭などは特に情報提供と適切なアドバイスが必要と判断されます。また、市販の浄水器では必ずしも安全であると言い切れません。こうした現状を踏まえ、町民へ情報を開示し、周知させる考えはありますか?
以上で登壇での質問を終わり、再質問は自席でおこないます。

研究レポート(再質問資料含む)
(1)   現時点で考えうる具体的対策は?
流しの部分にポスター、張り紙等。その他。
 
(2)   学校側との協議はしたか?具体的内容は?
水道や、蛇口の部分に掲示、朝礼や授業時間に安全指導。その他。
 
(3)   現時点で予想される危険性及びそれに対する具体的対策は?
   ニセ水道検査や、宅内の給水管取替えに関しての説明不足からの誤解(有料)。家庭用浄水器の利用、鉛管でなければ安全という油断。その他。
昭和55年以後に設置されたものならば、安全といえるか?
検査しなければ確認できない。その他。
当町の個人宅内に設置されている鉛管・銅管の件数は把握されているか?
鉛管使用栗原地区340件。銅管使用30件。その他。
啓発の方法及び内容について現段階で考えられていることは?
(啓発方法)保健センターでの検診(妊婦、乳幼児)、2小以外各学校。健康フィスティバル、産業際等での展示物。広報、オフトークの利用。その他。
   (内  容)胎児・乳幼児に対しての影響。水道水の危険性。浄水器が必ずしも安全とは言い切れない。滞留水の危険性と対策。ニセ水道検査診断士対策。その他。
           朝一の水はバケツ一杯分飲まない。
               シャワーで体に吸引される塩素は2リットルの
水を飲んだのと同じ。
         乳幼児、妊娠中の場合はなるべく湯船につかる。
         沸騰してもすぐ火を止めない。2分程。塩素の蒸発。
         学校で等で水を飲む場合、少し流してから。
 
今回の質問の趣旨と理念
 今回の質問に当たっての趣旨は3点ある。
1点目は、水道水の安全を可能な限り図る必要がある。
2点目は、すべて行政が対応することは不可能であり、自らの健康と安全は一人一人の自己責任で行うべきであることを啓発する必要がある。
3点目は、都や国の事業といえども、町として上への要望活動で終わらせてはならない。町民の生命と財産を守るために、可能な限り知恵を振り絞り、行動する必要があると考える。また、そのためのきっかけとしたい。
 
具体的問題点:
1、外郭団体「日本水道協会・水道技術研究センター・水資源開発公団等をはじめとする外郭団体への天下りと企業との癒着」
(例)1997年、改正水道法の施行・・従来では水道事業体の外郭「日本水道協会」のお墨付きを与えた製品でなければ、自治体が認可しない。(厚生省・自治体でない外郭団体に何故力が) 今後は一定の企画JISを満足すれば架橋ポリエチレン管などが使用できる。(厚生省はこの件に関して、PRに消極的)
2、不正行為の防止は不可能に近い。
(例)鉛管が廃止されたとした場合、それまでの製造された鉛管はどのようになったのか。
考えられるケース
その@開発途上国への輸出・・ODAの資金を使って行った可能性。
そのA不正使用・・・・・・・書類上はスチール管。実際は二束三文となった鉛管を建売住宅などに使用する。契約内容によっては数千万の利益を生み出すことは可能。
そのB別途利用・・・・・・・塩化ビニルの安定剤として鉛が使われたケース。(鉛管を一旦溶かして再利用はコストがかかる。何らかのトリックがなければコストに見合わないが)
そのC取り替え業者・・・・・一旦鉛管を使用し、グループ系の配管業者に別の管を取り付けさせることで、2重の利益を得る。
そのD検査・・・・・・・・・東京都は各家庭を回って検査することはないが、住民のなかにはこうした情報を知らずに、訪問検査を受け、過剰に危険性をアピールされることで、管の取り替えをすることも考えられる。(某シロアリ駆除業者が以前問題になった時と同様)
3、住民意識と啓発・・・・家の建替え、購入の際、水道管の材質を気にする人は皆無に等しい。また、朝一番の水を「バケツ一杯分捨てるか、花に撒け、洗濯に使え」といっても何処まで実行できるか。どうやって実行させるか。(自己責任の領域なので、ちゃんと周知がされた上で、本人が選択したのであれば結構)特に小さな子供へのアプローチをどのようにするのか?各学校の各蛇口にバケツを置き、バケツ一杯分の水を処理するのは可能か?水不足のときは?
4、浄水器の過剰な期待・・現在市販されている浄水器では、イオン化された鉛を除去できるかは研究段階。かろうじて数社のうち高価な浄水器にのみ可能なようだが、完全除去はできない。
5、管以外から鉛・・・・・鉛を使った銅合金製の蛇口やメーターなどの給水器具から溶け出す鉛。新品の蛇口でも一日の滞留水で、0.027〜0.091、3日間では0.033〜0.132(四国某市調査)
6、鉛以外の危険物・・・・鉛管以外にも問題はある。電気腐食によるイオン化した重金属類や、公道の下を通る水道局の配水管で石綿アスベスト管が埋設されているのもがある。石綿管は高度成長時に安価なこともあり、数多く埋設さてれた。ところが漏水しやすい、発ガン物質の石綿が水に溶け出す可能性があり、全廃に向けて交換作業が進められているが、いまだ約25パーセントは現存のまま。
7、混乱・・・・・・・・・仮に周知が徹底し、ただで水質検査が行われるとなれば、かなりの世帯からの要請があり得る。当然マスコミも取り上げるだろうし、噂も広がってくるであろう。(ちょっと送れて瑞穂では火がつくのではないだろうか)対応できるのか?労働組合などがこのことを理由に職員の増員要請をしてくる可能性もあるかもしれない。(あくまでも私見だが、民間調査会社に個人が有料で委託するシステムがベター。不正が発覚した場合は、賠償金、営業許可取り消し等罰則を厳しくすることなど対応する)
8、訴訟・・・・・・・・・安全であると認定するのは危険である。その時点で安全でも、数年後には安全でなくなる可能性もあるため、あくまでも検査してみないと安全確認はできないとしなければ訴えられる可能性がある。現状の世論形成では行政側はかなり厳しい。また勝訴してもその間に失われる時間と労力。また、その後の世間からの個人攻撃も起こり得る。
     考えられるケースとしていくつか挙げてみたが、「安全基準を満たしているか」は検査をして見なければ解らないのが実態であり、そのことをアピールすることが必要ではないだろうか。
 
以上を総括し、当町のケースとして考えられる対応は
その@啓発活動・・保健センターの乳幼児検診や、妊婦への指導、胎児への影響、授乳の
際の危険があること等の指導。健康フィスティバル等で啓発(保健
婦・教師等への情報提供と、指導要請)
広報、オフトーク等での情報提供。(内容:浄水器は万能ではない・鉛
管以外にも危険性があり、検査しなくてはわからない。水質検査の諸
注意(悪徳業者対策))
そのA検査の要請・各学校(可能ならば各公共施設)の水質検査の要請。状況如何では水
筒の持参指導。
 
以上の2点はコストを最小限に押さえてできる対策であると考える。しかし、いざ実行に移すとなると、結局受け止め側の問題意識レベルが重要となるであろう。恐らく「今まで水道の水を飲んできて自分は大丈夫だったので、そんなに気にすることはない。」と考えしまうのではないだろうか。あくまでも重金属被害は蓄積であって、いつどこで影響が出るかは個人差があることを自覚させる必要がある。(あくまでも私個人の体験だが、4年前の35歳で花粉症になった。この花粉症も蓄積で起こるといわれている。)また、東京都が平成15年までに400億かけて云々というと、これで大丈夫という意識に陥ってしまうのではないだろうか。この点も注意を払う必用がある。いずれにしろ、住民に情報を公開し、提供していくことが重要である。
 

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